カレーの本場インドの屋台へ
やってきたのはカレーの本場インド。自分のカレーに少し自信が持てなくなっていた齋藤は、この地で自分の味を見つめ直したいと考えていた。ひとまず、インドの街ならどこにでもある屋台へ。そこで食べた野菜カレーの味に驚く。
【齋藤】「スパイス3種類くらいだけなんですけど、シンプルなのに謎にうまいです」
少ないスパイスでなぜあそこまでの味が出せるのか。その秘密をどうしても知りたいと考えた齋藤は、貪欲にカタコトの英語で料理人にレシピを聞いて歩き、珍しいスパイスがあればすぐに試食して味を確かめた。
元旦の新作カレーは「ひじきとお餅のお雑煮風」
【齋藤】「(インドのカレーは)もっとスパイスがガツンと強い味なのかと思ったら、逆にシンプルだった。刺激ではなく、塩とか野菜の甘みを引き立てるためのスパイス。自分は最近、野菜の甘みを引き立たせるってことをおろそかにしていたことに気がつきました」
スパイスは香りだけでなく、具材の味を引き立たせるものということを再発見した齋藤。また新しいカレーを作れそうな予感がした。
2019年元旦。齋藤は厨房にいた。インドから持ち帰った「ロングペッパー」「カシミールチリ」を使った新たなカレーを考え出したという。今年第1号の限定カレーは、「ひじきとお餅のお雑煮風」。正月らしいオリジナリティーあふれるカレーだった。
【客】「おいしいね。甘い」
誰しも「思い出に残るカレー」が心の中に存在するだろう。「私のカレーもそうでありたい」と願い、日々新たな味を生み出し続ける齋藤のカレー熱は、今年もとどまるところを知らない。
カレー料理人
1983年東京生まれ。カレー好きの両親のもとで育つ。大学在学中はダンス漬けの日々を送る傍ら魯肉飯専門店でアルバイトをする。就職は大手カレーチェーン店のCoCo壱番屋に内定するも、最終的に辞退し、2年間のダンサー生活を経て2008年東京・八重洲の名店「エリックサウス」入社。7年間の修行ののちに2016年魯珈(ろか)をオープンする。2017年から2年連続で『JAPAN MENU AWARD』の三ツ星を受賞。2017年『Japanese Curry Awards』で新人賞を受賞し、開店からわずか2年で名店の仲間入りをする。仕事も趣味も生活も全てが「カレー」という35歳。