学園側は「証拠を出していただきたい」

世田谷学園側は、事実関係を否定した根拠を、弁護士による教員への聞き取りの結果だと説明している。Aさん本人や、教員とAさんのやりとりを聞いていた他の教員への聞き取りはしていない。

両者の食い違いが明確になった形だが、学園側は「客観的資料があれば出していただきたい。それによって、学園側が再考することはあり得る」と、逆にAさんに「証拠を出せ」と言ってきている。

しかし、Aさんへのパワハラを巡って、これまで元担任が謝罪し、校長が謝罪の手紙を送ってきたことは事実だ。Aさんを傷つけたことも一定の範囲で認めてきており、そのこと自体は学園側の弁護士は否定しなかった。

にもかかわらず、なぜ関係者の処分をしないのかとAさん親子の弁護士が問うと、学園側の回答は、懲戒処分をするには「学園としての労使紛争に耐えられる調査結果ではない」というものだった。

4年以上の話し合いを、全て覆そうとしている

「労使紛争に耐えられない」ことを理由に関係者の処分を拒否し、その結論を導くための調査では事実関係を全て否定する。世田谷学園は、4年以上かけてAさん親子と話し合ってきたことを、ここにきて全て覆そうとしている。

Aさんは「いまさら隠蔽する意味がわからない」とあきれて、こう続けた。

「不誠実な対応をしたことをごまかすために、さらに不誠実な対応をしているのが、いまの世田谷学園の態度です。教育に携わる者としてどうなのでしょうか。僕には学園の言っていることが理解できません」

Aさんに対する世田谷学園の対応は、どこを向いて教育をしているのかと言われても仕方がないのではないだろうか。Aさんは今後、証拠を元に、関係者の処分と原因究明を引き続き世田谷学園に求めていくことにしている。

(撮影=プレジデントオンライン編集部)
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