絶大な自信と一途な想い

「包帯パンツ」は、マドンナのワールドツアーでは、バックダンサーのステージ衣装にも採用された

なぜそんな掟を作ったのか。「最初にとっかかった場所で絶対に結果を出したる!」そんな想いがあったのかもしれません。包帯パンツという他にはない商品に絶大な自信を持っていたということもあるでしょう。

しかし最大の理由は別にあります。浮気をしないで「それだけ真剣にやってる。あんたに一途や」という気持ちを見せたら、あっちも動いてくれるものだと信じていたからです。

一途な想いは人を動かします。新宿伊勢丹に卸した包帯パンツは、最初の50枚すら売り切らないうちからバイヤーの上野挙さんが媒体への売り込みを頑張ってくれ、雑誌や新聞、ネットニュースなど次々に取り上げられるようになりました。

これで一気に火がつき、新宿伊勢丹の包帯パンツは週販450枚、月で1500枚と、今までとは打って変わって飛ぶように売れ始め、伊勢丹メンズ館の週間ベストセラー、月間ベストセラーを次々に獲得したのです。

その時に、伊勢丹研究所(現・三越伊勢丹研究所)で紳士衣料の責任者をやっていた高田喜代彦さんから「よかったなお前~」と電話をもらったのを、今でも覚えています。

「ここだけは」と思うものは裏切るな

当時、伊勢丹研究所は世のファッショントレンドをチェックして、バイヤーに商品を卸していました。つまり伊勢丹研究所は、私たちメーカーからすれば、いわば検閲官のようなもの。その高田さんが応援側に回って、いの一番に電話をくれたのは本当に嬉しい出来事でした。

高田さんは今でもメンズ館のアドバイザーをやっていて、ヨーロッパのピッティ(ミラノで開催されるメンズファッションの展示会)では、“日本の高田”と言えば通じる、ドンのような存在。昔と変わらず今も仲良くしてもらっているのは、ありがたい限りです。

仁義を通す。ちょっと古風な話になってしまいますが、どんなにきつくても、ここだけは浮気をしない、という気持ちは相手に必ず伝わるもの。

仕事を進めていくうえで、目の前に魅力的な数字を突き付けられたら、つい目移りしてしまうのは仕方がないことかもしれません。

しかし、「ここだけは」というポイントは外してはなりませんし、それはどんな仕事にもあるものです。ヒトであれ、モノやコトであれ、一番大事なポイントに対しては、浮気せず、真摯に向き合うべし。

「そっちに心を向けていれば、あっちも心を向けてくれる」。それがビジネスを前進させ、広げる鉄則だと私は思っています。

野木志郎(のぎ・しろう)
1960年、大阪府高槻市生まれ。立命館大学法学部法学科卒業。87年株式会社千趣会入社。新商品、新規事業を中心に担当する。2002年に父親の会社「ユニオン野木」へ。その後「包帯パンツ」を開発し、06年にログイン株式会社を設立して独立する。包帯パンツは19年1月現在、世界で130万枚を売上げ、世界的なシェフ・松久信幸(NOBU)氏やロバート・デ・ニーロ氏など、国内外の著名人にも多くのファンを持つ。
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