がん治療に「絶対」「奇跡」を求めない「一流の患者」

【コツ3 放射線療法を上手に利用】

「手術・抗がん剤・放射線治療」が「がんの3大治療」だ。「芸能人の手術」は、派手な記者会見で報道されることも多いが、抗がん剤は「髪の毛がごっそり抜ける」「嘔吐で悶絶(近年では吐き気止めが発達しており、不快感は軽減されている)」のようなネガティブなイメージが強いかもしれない。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/mr.suphachai praserdumrongchai)

それらに比べ、やや地味な治療法なのが、希林さんが主に受けていた放射線治療だろう。放射線治療は、「がんを根こそぎ退治」というイメージよりは、「進行を遅らせる」「痛みを減らす」といったイメージに近い治療法である。手術ほど体力を消耗しないので、「仕事の合間に照射」といった小回りの効く治療ができる。

彼女が長く活躍できたのも、この放射線治療を上手く取り入れて、奏功した結果だろう。特に2011年の東日本大震災での原発事故以降、日本中にアンチ放射能ムードが広まる中で、雑音に惑わされず冷静に放射線治療を続けたことが生涯現役を貫くことができたコツだったように思う。

【コツ4 民間療法にハマらない】

民間療法にハマってしまう著名人は少なくない。最近でも、金の延べ棒で患部をさする「ごしんじょう療法」や、野菜ジュースだけを摂取する「ジュースクレンズ療法」にハマり、早くして亡くなった著名人がいたようだ。

民間療法の特徴は、耳触りのよい宣伝文句でがん患者を誘惑することである。「自然派」「オーガニック」「副作用が無い」「体に優しい」「奇跡の生還」「絶対に治る」……。これに比べて、現実の医師による説明は患者にとっては物足りなく感じるかもしれない。診察時は「おそらくは」「有効なのは3割程度」「5年以内に亡くなる率が75%」など、患者が期待するような「絶対」「奇跡」のような言葉は出てこない。そのため病気で心身とも弱った人間は、つい民間療法にハマってしまうのだろう。

多くの女優が美しくあることを期待されるのに比べ、「病も老いも芸の肥やし」と受け止めてきた希林さんのほうが、結局のところ最後まで強い心を持って生きられたのだろう。

【コツ5 がんとともに生きる】

9月末、希林さんが亡くなった約2週間後、美容外科医の高須克弥さん(73歳)が希林さんと同じ「全身がん」であることをSNSで告白した。希林さんと高須さんには共通点がある。それは、「がんとともに生きる」という考え方だ。

高須さんは、大規模災害時に積極的寄付したり、スポーツ選手のスポンサーになったりするとともに、各種メディアでの歯に衣を着せない発言でオンリーワンの存在感を示している。

また、漫画家の西原理恵子さん(53歳)と交際していることでも知られる。「高須クリニック」代表である高須さんの財力ならば、トランプ大統領のように「ナイスバディの若妻を次々チェンジ」することも可能だろうが、50代の恋人と入籍せず、白黒つけない内縁・事実婚の状態で、仲睦まじく暮らしているようだ。