俳優の樹木希林さん(本名・内田啓子)が9月15日に死去した。75歳だった。樹木さんは2005年に乳がんの手術を受け、その後、全身にがんがあると公表していた。緩和ケア病棟や在宅医療で、進行がんの痛みの治療をしている廣橋猛氏は、樹木さんについて「格好いい死に方をされた」という。その一方で「樹木さんのような死に方は、備えがあればだれでもできる」とも話す。格好よく死ぬために必要な「3つのこと」とは――。
2013年11月26日、ファッション誌「VOGUE」の授賞式に出席した女優の樹木希林さん。バラ柄のワンピースは40年以上前に夫の内田裕也さんにプレゼントされたものだという。(写真=時事通信フォト)

誰だって樹木希林さんのようにカッコよく死ねる

数々の映画、ドラマ、CMなどで活躍された樹木希林さんが亡くなりました。存在感抜群の演技だけでなく、生き方から歯に衣着せぬ物言いまで、多くの人の心に残る方でした。

5年前に全身がんであるという告白をされるも、それからも変わらぬ様子で次々と映画などに出演され、「本当に末期がん患者なのだろうか」「全身がん告白は彼女なりのジョーク?」「体調が悪いといっても、彼女はまた飄々と仕事復帰するに違いない」などと思わずにはいられませんでしたが、お別れの日は突然やってきました。

訃報を耳にして、樹木さんは女優としても素晴らしかったけれど、死に方もまたカッコよかったなぁと思わずにはいられませんでした。そう感じた方は多かったのではないでしょうか。

では、どうすれば樹木さんのようなカッコよい最後を迎えることができるのでしょうか?

1.最善を期待しつつ、最悪に備える姿勢をもつ

樹木さんは、以前から「人間はいつか死ぬ生き物である」と繰り返し発言されていました。人はいつか死ぬ。当たり前のことですが、皆さんは本当にそのことを認めているでしょうか。

考えてみれば当たり前のことでも、いざ年をとって老いを感じたり、なんらかの病気になったりしたとき、どうせ人はいつか死ぬのだからと割り切ることができるでしょうか。そんなに簡単にできるわけがありません。では、どのように認めればいいのでしょうか。

樹木さんは、「がんになって死ぬのが一番幸せだと思います。片づけしてその準備ができるのは最高だと思っています」とも発言されていました。がん患者になったことで、いつか死ぬということをリアルに考えることができ、そのために死に向けての準備ができるようになったというのです。

がんは日本人の第1位の死因であり、大切な人の命を奪う憎むべき病です。一方で、がんは心臓病のように突然死する病ではありません。そのため、本人だけでなく周りの人も、死に向けて準備できるのです。