調査員が家に来ると、高齢者本人は日頃できないこともつい頑張ってしまいがちです。が、そうなると適切な認定が受けられないので、必ず家族も同席して「食事の見守りに1時間かかる」「衣類の着脱に1回20分のサポートが必要」など、かかる時間を具体的に伝えるのがコツです。
1、2割の負担といえども、まとまれば大変です。介護保険では「高額介護サービス費」という制度で、1カ月の自己負担額が一定ラインを超えると払い戻しを受けられるようになっています。たとえば年金収入280万円以上の人が要介護5で30万円分のサービスを使うと、2割負担なのでいったんは月6万円を支払いますが、1カ月の限度額は4万4400円なので、高額介護サービス費を申請すると、超過分の1万5600円が払い戻されます。
高額介護サービス費は世帯合算でき、申請すると、あとは自動的に市町村で処理します。また年間(8月~翌7月末)の介護費と医療費の自己負担額を合わせて基準額を超えると払い戻される「高額医療・高額介護合算療養費制度」も利用できます。同じ医療保険に加入していれば、家族の分も合算できるので各健保に相談をしてみましょう。
また、介護度には有効期間がありますが、いつでも「区分変更申請」ができます。自己負担が限度額を超えるようなら、ケアマネジャー、包括に相談をしてみましょう。
事前申請必須! 先走り購入に注意
介護保険のサービスは、自宅で受ける「居宅(在宅)サービス」、施設に入所して受ける「施設サービス」のほか、住民票のある市町村でしか利用できない「地域密着型サービス」があります。
家事支援や排泄介助などの訪問介護、デイサービスやショートステイなどはもちろんのこと、介護度に応じて介護用ベッドや車椅子、杖など福祉用具のレンタルは全国どこでも受けられます。
レンタル料は1~2割負担で、搬入搬出、身体状態に合わせた機種交換や返却が含まれます。購入に比べレンタルのほうが、状態変化に応じてその都度、用具や機種を変えられるので使い勝手がよく、経済的です。
また、ポータブルトイレや入浴用の椅子など直接肌に触れ、他人が使ったものに抵抗がある特定福祉用具は、10万円まで1~2割負担で購入できます。
さらに住宅改修も介護保険の認定を受けると、手すりの取り付けなどの対象工事は、総額20万円までは1~2割負担で行えるようになっています。
私の場合、実家のトイレと浴室の改修、玄関と廊下の手すりの取り付けで、80万円を超える費用がかかりましたが、身体障害者手帳で自治体の補助を受けたおかげで、その大半が戻ってきました。20万円を超える工事には、多くの市町村が独自の補助をしています(所得制限あり)。