なぜ将来性が評価されているのか

これらの数値は同業種の水準と比較して、また当該企業の過去の数値とも比較して、現状の株価評価に利用できる。

「スタートトゥデイのPERは、18年3月期42倍、来期37倍、その次31倍と、我々は予想しています。三越伊勢丹は同、60倍、43倍、21倍。これはそれほど差がありません。スタートトゥデイは、成長性が評価されていると考えられます。一方、三越伊勢丹の今来期当期利益水準は、スタートトゥデイの半分以下と予想され、利益水準が低く、似たような数値になります。両者の違いがはっきり出るのはPBRです。スタートトゥデイの前期実績32倍、今期予想22倍ですが、三越伊勢丹は、同約0.8倍です」(村田氏)

PBR格差の背景として、収益性の格差がある。代表的指標であるROE(株主資本利益率)は、株主資本で純利益を割った数値。資本をいかに有効に使って利益を出しているかをはかる。スタートトゥデイのROEが今来期予想50~60%に対し、三越伊勢丹は同約2%とみられている。

「スタートトゥデイの時価総額が三越伊勢丹の約2倍になっているのは、収益性と成長性が株価に反映されているからです」(村田氏)

ゾゾの客は年を重ねても顧客のまま持ち上がっていく

確かにスタートトゥデイの一株当たり純利益は54.7円で配当は36円。これは高い。だが三越伊勢丹も一株当たり純利益38.3円で配当も12円を出し、小売業では水準を上回っている。スタートトゥデイの時価総額が2倍というのはいきすぎではないか。鎌田氏は話す。

「儲ける力や効率性への評価の違いでしょう。スタートトゥデイは、テナントでの販売と同時に仕入れをしたとする百貨店の“消化仕入れ方式”と同様に受託販売のため在庫コストもかからない。店舗店員も必要ない。売上高営業利益率は30%を超します。ファッションにお金を使う10代後半から20代30代の女性を取り込み、年を重ねても顧客のまま持ち上がっていきます」

「一方、三越伊勢丹のカード客の大半は50代以上です。さらに顧客の“百貨店離れ”の中、複合商業施設を開業したJ.フロント リテイリングやニトリなど専門店を誘致した高島屋のように、不動産事業など百貨店以外の事業進出の出遅れが業績に響いています」

アマゾンエフェクトといわれるようにアメリカでは小売業がアマゾンに駆逐されている。変化しないものは滅びる。時価総額はそれを先取りしている。

鎌田正文
ビジネスリサーチ・ジャパン代表
 

村田大郎
JPモルガン証券シニアアナリスト