最後に、銀行融資を受けるためには、健全な貸出先であるということを、銀行の担当者に印象づける必要があります。そのためには、銀行の担当者が判断の根拠にする次のチェック項目に留意しましょう。

まずは、過去3年分の決算報告書をもとに、事業状況を説明します。ポイントは、銀行が関心を持つ点、特に「返済能力があるかどうか」や「とりっぱぐれの心配はないか」について、安心感を与えるような内容を盛り込むことです。

銀行の担当者が最も重視する数字は、営業損益の推移です。仮に最終黒字が3期連続で続いていても、営業損益が赤字ならばアウトです。なぜならば、事業自体には返済能力がないとみなされるからです。この違いが理解できないと、社長としての資質が問われることになりかねません。事前にしっかりと確認をしておきましょう。

また、明快によどみなく説明することで、粉飾や虚偽記載がないことをアピールします。

銀行がお金を貸したくなる「もう一つの資料」

こうしたプレゼンをするためには、日頃から資金繰り表を自分で作成するなど、経営の数字に関心をもって経営に当たる必要があります。そうすれば、銀行がどのような数字に関心を持つかも自然にわかるようになってきます。

私は、相談者の社長さんが融資の申込みに銀行に赴く際には、過去3年分の決算報告書だけでなく、「向こう3カ年の事業計画書」を持参するように指導しています。銀行員に非常に評判がいいので、どなたにもお勧めしています。

三條慶八(さんじょう・けいや)
経営アドバイザー
1960年神戸市生まれ。負債140億円を背負った会社を完全復活させた経験に基づき、中小企業経営者に会社経営、会社再生法を伝授している。著書に『1000人の経営者を救ってきた コンサルタントが教える 社長の基本』(かんき出版)、『あなたの会社のお金の残し方、回し方』(フォレスト出版)など。
(写真=iStock.com)
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