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踊って、踊って、踊りまくる

ワーグナーより戦闘的ではなく、軽やかな楽曲をと言われたら、ヨハン・シュトラウス作曲のポルカ『雷鳴と電光』を挙げる人がいるだろう。ただ、この曲もビジネスシーンにはそぐわない。小学校の運動会を思い出してしまうからだ。地元感、ほのぼの感が満載だ。または、ウィーンフィルで楽しげな指揮をするカルロス・クライバーの姿しか浮かばない。残念ながら、この名曲はビジネスシーンにおいては、緊張感が足りない。

気分を高めた上、ほどよい緊張感を保ちたい。そんなときには、いっそもう踊らんばかりの楽曲を聴くのもいい。ハチャトゥリアン作曲のバレエ『ガイーヌ』の『レズギンカ』を聴いてほしい。「踊らんばかり」どころか、そもそもバレエを踊るため曲である。『白鳥の湖』のような優雅さはなく、むしろ何かに急き立てられながら踊るしかないというような、緊張感が最後まで途切れない曲である。

村上春樹は小説『ダンス・ダンス・ダンス』の中でこう書いた。

「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」

ビジネスシーンで止まることが許されないことがある。どんなに緊張していても、踊るしかない。それもとびきりにうまく。ハチャトリアン『レズギンカ』は、こんな一節に最適の曲である。

プレゼンに勝った日には

思い通りの成果を上げ、帰社する際にはぜひ、ショスタコーヴィッチ作曲の『祝典序曲』を聴いてもらいたい。トランペットの高らかなファンファーレが、あなたを褒め称えてくれる。次々に現れる管楽器の速いパッセージ、弦楽器がクライマックスに向かって引っ張って行く。気持ちよいフィナーレを聴けば、思わず両手を振り上げそうになるに違いない。

今日の舞台で、自分がどれほどの役を演じられたか。そんなことを思い返しながら、ひとときくらいは、喜びを体で表現してもいい。そして、明日からも演じよう。音楽に合わせて。

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