中堅社員の学びは自己管理が難しく、迷いが多い

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成長の2つのタイプ

ただ、難しいのは、戦略変化や、企業変革、横への成長の対応のための学習の場合、レリバンシーを感じ、これが内的意欲に繋がるためには、もともとの戦略変更や変革の方向性に、一人ひとりが共感をしていることが必須なことである。その意味で、新たなビジョンの共有や方向性へのコミットが必要になる。ただ、これは同時に一人ひとりが、今まで信じていたものを否定する側面も含まれるので困難である。信じていたものの破壊は、働く人のアイデンティティ(自分意識)を壊す可能性があるからである。

では、どうすればよいのか。キャリア貢献期の学習が、大人の学習であればこそ、それにあった企業としての支援が必要になってくる。まず、第一に重要なのが、成長意欲の維持である。私は、成長意欲の根本は、「学びの成功体験」の活性化だと考えている。学びの成功体験とは、「チャレンジ→挑戦→学び→成長感→さらなるチャレンジ」という流れのことであり、これが回り出すと、自律的な成長のサイクルが回り始める。ただ、通常は、こうしたサイクルは、ほっておいても回り始めないので、少し背中をおしてあげるのである。いうなれば、ポジティブフィードバック(つまり、褒めること)を通じて、最初は、このサイクルを外からの支援で回し始めるのである。

ここで重要なのは、企業と個人の対話である。一般的に、「大人の学び」には、迷いが多い。キャリア初期と違い、どこへいけばよいのかについての、与えられた指針がない。そのため、自己管理が難しい。周りから提供される適切なフィードバックは重要なのである。

どんなに自律型の人材でも、自らがどれだけ成長しているのか、また“正しい”に向かって進んでいるのかに関する何らかの評価やフィードバックがないと、いずれは頓挫する。フィードバックを通じて、学んでいる方向のレリバンシーを確認し、そこからモチベーションを高めるのは、成長を促進するための重要な支援である。

逆に、働く人から見れば、適切なフィードバックを受けることができるように行動することも必要だ。このことをフィードバック・シーキングという。自分で信用のおける他人から、フィードバックを求めるのである。