高校スポーツは出場校・者選びをサッカーW杯に学べ
全国大会に出場できるかどうかは、その後の人生に関わってくる可能性がある。
部活動に励む生徒は、受験勉強が一般の学生に比べ遅れがちだが、全国大会に出場することで、スポーツ推薦、自己推薦、AO入試など、部活動を評価されることで、大学進学のチャンスが出てくる。これはラッキーなケースだ。
しかし、その後もうまくいくとは限らない。本当の実力はそれほどではないのに生まれ育った都道府県や地区のレベルが高くなかったおかげでたまたま全国大会に出場できた選手が、大学へのスポーツ推薦枠などを得たとしても、結局、大学ではついていけずダメになる選手もいる。
逆のケースでは、高校時代に才能と実力がありながらも、全国大会に進めなかったために、競技の継続をあきらめてしまう選手もいる。もし大学へ進学できたら、さらに成長を遂げていた可能性があったのに。そういうアンラッキーなケースは枚挙にいとまがない。
では、どうしたらいいのか。
▼サッカーW杯の出場国選びが「グローバル・スタンダード」
ヒントは今開催中のサッカーW杯にあるのではないか。W杯は各大陸別で予選が行われる。現行は32の出場枠で、2026年大会からは48チームが出場できる。以下が2026年ワールドカップの各大陸別出場可能枠だ。
・アフリカ 9カ国(現在5カ国)
・アジア 8カ国(現在4.5カ国)
・ヨーロッパ 16カ国(現在13カ国)
・北中米カリブ海 6カ国(現在3.5カ国)
・オセアニア 1カ国(現在0.5カ国)
・南米 6カ国(現在4.5カ国)
甲子園のように各ブロックの代表数は平等ではない。FIFA(国際サッカー連盟)が各大陸のレベルや参加チーム数などを判断して、出場枠の数を多くしたり少なくしたりしているからだ。
陸上競技の場合、オリンピックや世界選手権に出場するには、「出場枠」以前に選手個人が参加標準記録を突破しなければいけない。日本勢にとっては誰も参加できない種目がたくさんあるほど、ハイレベルな基準になっている。今後は「ワールドランキング制度」(各地の大会で記録した順位をポイント化)が導入されることになり、世界大会への参加基準は、より明確なものになってくるだろう。
歪んだかたちになっている日本の高校スポーツ界も、サッカーW杯を筆頭とする「グローバル・スタンダード」に合わせて、全国大会への出場権を「公平」なものにしていかなければならないのではないか。