大手自動車メーカーによる「テスラ包囲網」

テスラはこれからどうなるのか。一つ確実に言えるのは、これからも同社はマスタープランに従って動いていくということです。10年前に掲げたマスタープランをほぼ実現させたテスラは、2016年に新たに「マスタープラン パート2」を発表しました。テスラの日本語のHPには次のようにまとめられています。

テスラの日本語サイトにある「マスタープラン パート2」の冒頭部分。

「エネルギー生産と貯蔵を統合する」。これは、テスラがソーラーシティを買収したことと関連しています。バッテリーとソーラーパネルをシームレスに統合し、「クリーンエネルギーのエコシステムを構築する」という共通の目的のために一元管理する、というのです。現在は、家庭用蓄電池の「パワーウォール2」、産業用の蓄電システムの「パワーパック」を展開、加えてパナソニックとの共同によるバッテリー工場「ギガファクトリー」を稼働させ、EV車に搭載するリチウムイオン電池を生産しています。

「地上の輸送手段の主な形を網羅するために事業を拡大する」。これは、すべての主要セグメントをカバーできるように、EVの製品ラインナップを拡大する、ということです。2017年11月には、同社初の電動トラック「テスラ セミ」を発表、2019年に製造開始をするとしています。

「人間が運転するよりもかなり安全性が向上する」

「自動化」。引き続き、世界中のテスラ車から走行データを収集し、自動運転システム「オートパイロット」を進化させることで、「人が運転するよりも10倍安全な自動運転機能を開発します」と宣言しています。またその理由についても、次のように書かれています。

「なぜテスラが今、待つことをせず、部分的な自動運転を実装しているのかを説明します。最も重要な理由は、それを正しく使った場合、人間が運転するよりもかなり安全性が向上するということです。そのため、単にメディアの論調や法的な責任を恐れてリリースを遅らせることは道徳的に許されることではないと私たちは考えているからです」

ただ自動運転車で死亡事故も起きてしまったなかで、筆者としては、この部分だけはイーロンに再考をしてほしいと切望しています。

「カーシェアリング」。同じく「マスタープラン パート2」には、「クルマを使っていない間、そのクルマでオーナーが収入を得られるようにします」「これにより月々のローンやリースの支払いをオフセットし、時にはそれ以上の収入を得ることが可能になり、ほぼすべての人がテスラ車を所有できる程に、実質的な所有コストが大幅に削られます」と書かれています。