いじめ予防教育が失敗する要因は、担任の経験不足だけではない。担任や学校管理者がいじめについて無関心で、かつ子供たちとの接触不足や思い込みによって、クラスの「真の姿」を知らない場合に起きることが多い。前提を誤れば、どんなに努力しても結果はゼロになる。こうした学校では、1人の保護者がどう動こうが、奇跡的な出来事でもない限り、何も変わることはない。

予防教育がうまくいく条件とは

いじめ予防教育は、その学校の現状の環境に適合したものを行うことが第一で、どんなやり方が一番かなどとは簡単には言いにくい。学校全体で具体的な取り組みを行っていること、学校長がさまざまな反対意見をのみ込んで、先頭に立って積極的に活動を行っていることなどは、最低限必要な条件となろう。

児童自らが積極的にいじめ防止活動を展開する、足立区立辰沼小学校の「辰沼キッズレスキュー」のような事例もある。保護者としてはPTA活動などに積極的に参加し、懇談会や研修会などの行事の際、適切な講師を呼んで学校に意見してもらうなど、地道な活動をしていくことが正攻法となるだろう。

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阿部泰尚(あべ・ひろたか)
NPO法人ユース・ガーディアン代表理事
1977年、東京都生まれ。東海大学卒業。T.I.U.総合探偵社代表。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。教員免許あり(社会科)。2004年、探偵として初めて子供の「いじめ調査」を受件し、解決に導く。以後5000人以上の相談を受け、重大な問題があり、関係各所が動きが取れない状態であった330件(2015年12月現在)に上るいじめ案件を手がけ収束・解決に導き、今も精力的に「いじめ問題」に取り組む。著書に『いじめと探偵』(幻冬舎新書)など。
(写真=iStock.com)
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