言葉に関しても、無思慮な言葉遣いの人と、配慮の行き届いた言葉遣いを心がけている人では付き合いやすさは大きく異なります。とげとげしい言葉を次々に口にし、他人の悪口ばかり言う人などは、一緒にいて疲れるだけでなく、その人以外の人間関係にまで悪影響を及ぼしかねません。

これらは「性格」という内面的なものというより、コミュニケーションに際して現れてくる「ソーシャル・スキル」とでも呼ぶべきものです。ソーシャル・スキルは先天的に身に付いているものではなく、社会経験を重ねるなかで磨かれていくものですから、年下よりも年上のほうが洗練されていることがしばしばです。そのうえ、若い頃より容貌が衰えたとしてもソーシャル・スキルは衰えません。

趣味との向き合い方から相手を知る

趣味への取り組み方も、異性について多くのことを教えてくれます。最近は「オタクの婚活」が話題になったりもしますが、自分に近い趣味を持っているかどうかだけを気にするのでは不十分です。

多趣味な人にもいろいろな人がいて、単に飽き性な人もいれば、上達のコツを素早くつかむことによってたくさんの趣味をこなしてしまう人もいます。ひとつの趣味に打ち込んでいる人も、ひとつの趣味を深く追求しながらソーシャル・スキルもしっかり身に付けて生活している人もいれば、お金にも生活にもだらしないまま趣味に溺れている人もいます。趣味への取り組み方ひとつを見ても、その人について相当のことが類推できます。

そのほか、仕事や人間関係も含めて、あらゆるものに目を向けて、それらが何をほのめかしていて、どんなことを想定させるのか読み取りましょう。ひとつひとつの要素を切り取って読むのでなく、いくつもの要素を並べて、まとめて、その人がどんな人なのかを考えましょう。スポーツでも、オンラインゲームでも、SNSやInstagramでも、なんでもそうですが、その人の性質を反映していないものなど存在しません。分別の有無、虚栄心の強弱、社会経験の多寡、そういったものはあらゆる活動に現れ出てきますから、それらを総合して読み取るのです。

熊代亨(くましろ・とおる)
精神科医
1975年生まれ。信州大学医学部卒業。専攻は思春期/青年期の精神医学、特に適応障害領域。ブログ『シロクマの屑籠』にて、現代人の社会適応やサブカルチャーについて発信し続けている。著書に『ロスジェネ心理学』『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』(花伝社)、 『「若作りうつ」社会』(講談社現代新書)、『認められたい』(ヴィレッジブックス)がある。
(写真=iStock.com)
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