特に集客に大きく貢献しているのが、看板メニューの「199円アルコール」だ。ミライザカは199円のハイボールを、三代目鳥メロは199円の生ビールを前面に打ち出し、集客の目玉としている。この安さにつられて入店する人は少なくないだろう。

「三代目鳥メロ 新宿御苑前店」の外観。看板に「和民」の文字は見当たらなかった。(編集部撮影)

「199円アルコール」を前面に出すことで、全体的な安さも演出できる。実はミライザカは399円や499円のメニューが多く、全品298円均一の鳥貴族と比べると全体的に高いのだが、199円アルコールの存在で高い印象を与えることを回避している。これは三代目鳥メロも同様だ。

アルコールの原材料費や輸送費、人件費などが高騰し、17年6月に施行された改正酒税法の影響により仕入れ価格の上昇圧力がかかるなか、ミライザカと三代目鳥メロは199円アルコールの価格を据え置いている。鳥貴族が17年10月から全品均一価格を280円から298円に引き上げるなど居酒屋各社で値上げが相次ぐなか、これは注目に値する。199円という価格による集客効果が大きいために、値上げはしないのだろう。

約1年で「和民」系は145店減、鳥メロは72店増

ワタミの18年2月時点の国内店舗数は472店。「和民」と「坐・和民」、「わたみん家」の合計が160店、ミライザカが102店、三代目鳥メロが123店だ。16年年度末(17年3月)と比べると、和民系は145店減り、ミライザカは63店増え、三代目鳥メロは72店増えた。和民の看板架け替えが進んでいる状況だ。

ミライザカと三代目鳥メロの好調で、ワタミの既存店売上高は17年11月から18年2月まで4カ月連続で、前年比プラスで推移。10月こそ台風が週末に2度直撃するなど天候に恵まれなかったためわずかにマイナスとなったものの、前月の9月までは13カ月連続でプラスだった。17年4~12月期の国内外食事業の売上高は、前年同期比2.8%増の363億円となっている。