万博は「オリンピック」と同じだ

――てこ入れのためにはどうすればいいですか?

【堺屋】叡智を集めることです。当代一流の人をプロデューサーに起用する。70年のときは建築プロデューサーの丹下健三さん、展示プロデューサーの岡本太郎さん、運営プロデューサーの伊藤邦輔さんが活躍しました。いまでいえば、建築なら伊東豊雄さん、坂茂さん、西沢立衛さんといったところでしょうか。そして大きな計画を描くのです。大阪万博のような5年に1回の登録博はスポーツでいえばオリンピックです。国体レベルの小さな大会をイメージさせてはダメなのです。

70年大阪万博では、「規格大量生産大国・日本」というコンセプトが世界中に広がり、結果として自動車や家電や光学機器の研究開発が進み、ハイテク国家・日本の礎ができました。民間企業はパビリオンを出してそのことを宣伝する。「面白そうだ」とお客さんがやってくる。そのサイクルがうまく回りました。いまならアジアからお客さんがたくさんやってくるでしょう。

70年の会期中は全国の女子大生が万博のコンパニオンに応募したものだから、当時盛んだった学生運動から女子がいなくなり、運動そのものが衰退するというオマケもつきました(笑)。そして71~72年には「万博ベビー」がたくさん誕生したのです。

今度だって同じです。万博で世界中に「楽しさ」を発信して、日本国民を楽しい気持ちにさせる。そんな国民運動にしようじゃありませんか。

堺屋太一(さかいや・たいち)
作家、元経済企画庁長官
1935年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒。旧通産省時代に70年日本万国博覧会(大阪万博)を手がけた。大阪府・大阪市特別顧問、内閣官房参与。2018年6月に東京で『大阪万博回顧展』を開催予定。
(聞き手・文=面澤淳市(プレジデント編集部) 撮影=永井 浩)
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