長期的には半島統一が目指されるとしても、韓国は負担が大きすぎる早期の統一を望まないだろう。したがって、中国、ロシア、韓国、日本の周辺4国に、アメリカを加えた5カ国が主導する(事実上の)国際共同管理体制が導入されることになる。もっとも実際の形式や名称には、さまざまな可能性がありうるだろう。国連平和維持活動(PKO)も一つのオプションだろうし、上記5カ国が満足する影響力行使の仕組みが確保されたうえで、安全保障理事会を通じて他の常任理事国なども関与に関心を示したなら、それは有力なオプションになる。

中国中心の「国際平和活動」に日本は入り込めるのか

日本は近隣の有力国として、巨額の財政負担を求められる。さぼっていれば、20世紀前半の韓国併合の負の遺産などを問われ、泥沼の歴史論争が始まるだろう。ただし、口を出せずにただ財政負担を求められるだけ、というのは、日本にとってむしろ「最悪のケース」と考えるべきだ。

私は、仮に朝鮮半島情勢が不穏であっても、南スーダンなどの国連PKOに人員を提供し続け、組織的ネットワーク維持や人材育成に努め続けるべきだ、と主張してきた。現実はむしろその逆になっていることは、第1回の冒頭でふれたとおりだ。

中国の存在感は、日本とは真逆である。朝鮮半島における国連PKOやその他の国際平和活動が、アメリカと中国(およびロシア)の主導で進められることは間違いないが、人員の提供という意味では中国が圧倒的な存在感を見せるだろう。歴史上かつてないほど、中国の影響力が絶大な国際平和活動が展開されることになる。日本がそこに入り込めるかどうかは、アメリカを通じた政治的作業だけが生命線になる。

19世紀後半以降、日本は朝鮮半島への関与を、地政学的観点から死活的利益の対象だとみなしてきた。近い将来、日本に何の準備もないまま、朝鮮半島に大きな政治的変動が起きた際には、日本の地政学的地位の構造的な変化が決定的になる事態が発生する可能性がある。