模擬問題で記述問題の書き方をおさらい
以上、5つのポイントを挙げたが、まだピンとこない人も多いかもしれない。そこで、次の読解問題の記述解答(誤答例)を見て、どこがおかしいのかを考えつつ、正しい答えを導き出していこう。子どもに記述をアドバイスするためのヒントになるかもしれない。
Q:「ヒロの目からは涙があふれてきた」(《》部分)の理由を60字以内で答えなさい。
(以下、読解問題文)
「私さあ、加藤くんに誕生日プレゼントあげようと思っているんだけど、加藤君が好きなものって、ヒロ、知ってる?」
ヒロは胸が高鳴った。
「そんなの……わかんないよ。」
「ふーん……そっか。残念。」
奈美子はちぇっと舌打ちした。
それにしても、なんで奈美子って、こんなに無神経なんだろう。こっちの気持ちなどおかまいなしだ。
「でさ、加藤くんってさ……」
「加藤、加藤ってうるせえよ。俺でなく加藤に直接言えよ。」
ヒロは駆けだした。背中のうしろから奈美子の気配が完全に消えたとき、《ヒロの目からは涙があふれてきた》。
(以上、読解問題文)
【誤答例】
奈美子が、とりわけ特別な存在なのに、そんなことを気にせずおかましいなしに無神経なことばかりを言われてしまったから。
(1)「奈美子が」は短い主語なので直後に読点を打たない。
(2)「とりわけ」「特別な」が同一の意味の反復になっている。
(3)だれにとって「特別な存在」なのか?
(4)「特別な存在」は抽象表現である。具体的にどういうこと?
(5)「そんなこと」が指している内容がよく分からない。
(6)「無神経なこと」とは何か? これも抽象表現である。
(7)「涙があふれてきた」のはある気持ちが引き起こしている。文末を「~気持ちから。」で締めよう。