「民主主義が担保されていない」

東京社説は中盤で希望の党が逆風にさらされたことに言及し、その理由についてこう指摘する。

「都民ファの組織運営を巡る情報公開が不十分なこと。議員個人としての自由な意見表明や調査活動が制約されていること。つまり、党内の民主主義が担保されていないという痛烈な批判だった」

情報の公開が不十分で、議員の意見表明や調査活動が制約されていることはあるのかもしれない。

ただ希望の党はできたてのほやほやである。安倍首相の突然の解散に打って出るためにかなりの急ごしらえだった。党として安定するのはこれからだった。そこを「党内の民主主義が担保されていない」と言い切るのはいかがなものだろうか。

「排除の論理」が立憲民主党を生んだ

さらに東京新聞は「合流組に対し、違憲の疑いが強い安全保障関連法や憲法改正を支持するよう踏み絵を迫り、排除の論理を打ち出した」とも指摘している。しかし排除の論理で考え方の違う議員を選別した結果、選挙戦自体が分かりやすくなった。だからこそ立憲民主党も生まれたのである。

その点を東京新聞はどう考えているのか。社説を担当する論説委員たちの論議が、不十分である気がしてならない。

続けて東京社説は「政治理念や政策よりも、小池人気にあやかることが結集軸のようにも見えた。多様な言論を認めない不寛容を印象付けたのも、都民ファの体質に似ているといえる」と批判する。

だが、理念と政策抜きで小池人気だけ集まってきた議員連中を選別したのが、排除の論理であることを忘れないでほしい。

「安易な離合集散を繰り返すな」

次に26日付の読売新聞の社説を取り上げる。

タイトルは「立民と希望」で、見出しは「安易な離合集散を繰り返すな」である。

社説の中盤で「公示前勢力を下回った希望の党の両院議員懇談会で、小池代表は『排除』発言について陳謝した。今後の党運営を国会議員に委ねる考えも示した。出席者からは辞任を求める声も上がったが、小池氏は代表を続投する意向を表明した」と書く。