「撮られ方は単なるスキルだから、やり方さえ覚えれば誰でもできます。問題は、恥ずかしい気持ちがそれを邪魔すること。写真の8割はメンタル。感情が表情に出てしまうから、まずは緊張を解きほぐすことが大切です」
そこで示されたのが、橘田氏が仕事で実践しているという被写体への「魔法の言葉」だ。
「『目をつむってもいいよ』と言うんです。みんな『目をつむってはいけない』と緊張してるから、表情が硬くなってしまうんですね。でもプロフィール写真なんてベストな1枚があればいいんだから、すべての写真をよく撮られる必要なんてないし、NG写真がいっぱいあってもいい。だからまず自分で『目をつむってもいい』と思うだけで、とてもリラックスできるんです」
ポーズの決め手はこの5つ
続けて、表情に直結する「姿勢」について具体的な指導が入る。いわく──
□カメラに対してななめ45度で立つとシュッとして見える
□逆に真正面に向くとアスリートのように大きく強く見える
□足はレの字で開いて立ち、後ろ足に重心をかけると細長く見える
□前脚の膝を少し内側に曲げるとより細長く見える
□手の位置は左右非対称が基本。片側だけポケットにかけるなど
などなど。いずれも小ネタのようでいて、覚えておけば確実に差が出る、つまりは自信につながるポイントばかりだ。
姿勢ができれば、あとは表情だ。一般的には、口角をあげて目を大きく見開いた表情がいいとされているが、橘田氏は「笑うと目が小さくなるのが当たり前です。目が大きくなるのは、びっくりしたときの表情。それを両立するのは不可能なんです」という。
「僕はモデルさんからいい表情を引き出すために、『最近なんかいいことありました?』という質問をよくします。そうすると思い出し笑いをして、自然な笑顔が引き出せる。写真を撮られる時には、好きな食べ物を食べるとか、自分が楽しいと思うことを想像するといいんです。逆にかっこよく撮られたい時は、自分の好きな俳優を思い出すとか、心の中でスーツ姿になってみるのも有効です。どういうふうに写りたいかゴールを決めておいて、自分が何を思えばどういう表情になるのか、妄想の引き出しをたくさん用意しておくといいですね」