さらに情報が集まれば集まるほど、本物とは何かを知るようになるでしょう。そうなれば謙虚にその道のトップリーダーに師事したいと考えるようになっていき、何事にも真剣に取り組むようになっていきます。謙虚な姿勢こそ、リーダーに必須の人間力の証と言えるでしょう。日本の教育に「長所伸長型」を取り入れるときが来ているのではないでしょうか。

子どもたちが明るいイメージを持てない国

国も重い腰を上げ、教育改革を推し進めています。2020年度には「大学入学共通テスト」の開始、英語の4技能外部試験の導入など大学入試が大きく変わります。

この教育改革がこれまでの知識偏重から、深い知識を前提とした、論理的課題解決力、発信力などのリーダーの素養を磨く場となることを願っています。

夢や志の大切さを指導する中で感じるのが、今の生徒たちが将来に明るいイメージを持っていないことです。考えてみれば、私たちが子供の頃は高度経済成長期の最中であり、明るい未来を簡単にイメージできました。

ところが、今の子どもたちは、バブル崩壊後の先行き不透明な時代しか知りません。国家財政の危機や少子高齢化などの課題が山積した今の日本で、どうして明るいイメージが持てるのでしょうか。

その中で、私が最も懸念していることは人口減少です。人口が増えれば、明るく活気ある社会をイメージできますが、人口が減っていく現状ではそれも難しいでしょう。2016年、出生数は98万人となり、記録に残る1899年以降、初めて100万人を切りました。

今の人口減少のトレンドをそのまま続けて行けば、日本は消滅してしまう。今や「日本人は絶滅危惧種」という言葉まで飛び出している現状は、我々の代で返上したい。そう強く考えています。

1000万円の投資で2億円を回収

日本にとって少子化は将来の経済や社会保障など国の基盤を蝕む非常にセンシティブな問題です。逆にこの問題さえ解決すれば、再び希望を持って暮らせる社会が作れるかもしれません。だからこそ何とかしたい。

私のアイディアは「第3子以降の出生に対して国が1000万円の奨励金を支給する」というものです。

16年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.44でした。「十分な教育を施すためには、子ども1人が限界」と子育て世帯が考えているのであれば、人口は減る一方です。

人口が増加に転じるためには、子育て世帯が3人の子どもを育てることが望ましい。そこで第3子以降の誕生に1000万円のインセンティブを与えるわけです。これにより親の子どもへの教育費の問題は大幅に解消され、第3子まで生もうと考える夫婦は飛躍的に増えるでしょう。