都議会自民党だけが持つ「教科書」とは

今の都議会自民党に圧倒的に足りないのは発信力だ。小池知事には毎週金曜日の定例会見という発信の場があり、一挙手一投足が注目されている。一方、一都議会議員や都議会自民党がそれに匹敵する発信力を持つことは難しい。しかし、何もしなければ、また自民党は三途の川を見るだろう。そのとき、都民も一緒に三途の川を見るようなことは、決してあってはならない。

そうした危機を招かないためにも、都議会自民党は発信を続けなければならない。1人では無理でも、自民党には専門分野、得意分野を持った人材がたくさんいる。

都議会自民党と都民ファーストの会が決定的に違うのは、私たちが都政を運営するうえでの「教科書」を持っていることだ。自民党は長い間、都議会第一党として大局的見地に立ち、東京と日本の未来を考えてきた。引退した内田茂氏には批判の声も多かったが、私は内田氏を「都議会の歩く百科事典」と呼んでいた。人材が豊富にいて、難局にどういう判断と行動をすればいいかという知見が、自民党内には脈々と受け継がれている。そうした知識や知恵を対外的に発信できるよう、報道室という広報体制もつくってきた。

今後は自民党に対して向けられた知事の発言を1つ1つはね返していくだけでなく、知事に先んじてよりよい政策を伝えていくことも必要だ。皆さんに私たちの主張を提示したうえで、「自民党案と知事案、どちらがいいですか」と問い続けていくしかない。

今、小池知事の周りには、自民党が歩んできた道とは違う道を歩もうとするブレーンが多く集まっている。そのため小池都政は脇道に逸れ、迷路に迷い込んでいるように思えてならない。近い将来、行き詰まるのは明白だ。

そんなとき、ブレーンとして小池知事を支え、本当に「都民ファースト」な知事にできるのは自民党しかない。

小池知事も私たちも、東京を光り輝く都市にするという思いは一緒だ。私たち都議会自民党は、そのゴールに向かって最短距離で進んでいる。議会で議論を重ねていけば、実は知事の考えと自民党の政策が変わらないことがわかるはずだ。そこから道が開ける。

都議会自民党を壊したのは小池氏だ。しかし、皮肉なことに、自民党を再生できるのも小池氏しかいない。「自民党=悪」という世間の呪縛を解くためには、魔法をかけた小池氏本人に自民党のすごさを認めてもらうしかない。

2020年まで残された時間は少ない。しかし、賢明な小池氏なら、間もなく気づいてくれるはずだ。そのときこそ、自民党再生のときである。

川松 真一朗(かわまつ・しんいちろう)
東京都議会議員
1980年生まれ。日本大学法学部法律学科卒業。テレビ朝日アナウンサーを経て、2013年、東京都議会議員に初当選し、現職2期目。都議会自民党で最年少。都議会文教委員会副委員長。都議会自民党筆頭副幹事長。オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会委員を務める。
 
(構成=畠山理仁 写真=時事通信フォト)
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