ハイブリッド車市場の先細りは避けられない
日本の自動車会社の業績は為替に大きく左右されるが、自動車1台当たりの販売価格や原価、営業利益の推移も確認しておこう。
表は自動車部門の売上高や原価などをベースに示したものだが、1台販売での儲け(営業利益)は、09年3月期の5万円超の赤字から回復。「15年3月期=26.6万円」「16年3月期=29万円」「17年3月期=19.8万円」と、07年3月期や08年3月期レベルにまで戻したといっていいだろう。
トヨタ自動車は1998年にダイハツ工業、2001年に日野自動車をそれぞれ子会社化。SUBARUやいすゞ自動車にも資本参加した。17年10月にはマツダと500億円ずつ相互出資。スズキとも業務提携の方向である。
SUBARU300万円弱、マツダ200万円強、スズキ100万円と、1台平均の販売価格は各社各様だ。それら国内勢に加え、ドイツのBMWも含めれば、トヨタの資本・業務提携先の合計販売台数は1800万台を超える。
トヨタグループがしばらくの間は業界のリード役を担うかにみえたが、エコカーの本格普及や自動運転車の開発が進むにつれ、ライバル関係など業界の構図が大きく変化。米フォード・モーターが、自動車の大量生産を可能にした生産方式を導入して100余年。グーグルやアップル、マイクロソフトといったIT世界大手、さらには、EV専業のテスラや中国BYDなどを含め、これまでにない戦いの幕が切って落とされた。
トヨタにとっての誤算は、エコカーの主役がEVに移行する流れが強まっていることだ。英仏が40年までにガソリン車やディーゼル車の製造・販売の禁止方針を打ち出し、中国も続く可能性が高いとされる。以前から環境規制が厳しい米カリフォルニアでは、18年からさらに排気ガス規制が強化される。
ハイブリッド車がエコカーから除外されEVが主流になれば、ガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車でリードしてきたトヨタのアドバンテージが消える可能性も出てくる。トヨタがハイブリッド車を世に送り出したのは1997年。それから20年、2017年1月にはハイブリッド車の累計販売台数が1000万台を突破したが、販売台数の先細りは避けられないといってもいいだろう。