批判一色に見えるのは錯覚

まとめサイトやブログで取り上げられると、ネット世論は批判的な意見一色に見える。しかし、その印象は正しいのだろうか。

インターネットモニター約2万人にアンケートを実施したところ、過去に炎上事件に1度でも書き込んだ人は1.1%。過去1年に書き込んだことのある現役参加者は0.47%にすぎなかった。インターネットのアクティブユーザーが約4000万人いると仮定しよう。炎上事件は大小含めて年間約200件起きている。炎上参加者が年2回参加したとして単純に推定すると、1件の炎上事件の参加者は1000~2000人ほど。それもそのうちの9割は一言感想を述べる程度だ。

参加者は批判的な意見の持ち主ばかりではないことにも注意したい。牛乳石鹸のCMがネット上で話題になったのは、8月15日だった。ツイッターに書き込まれた意見を、「問題あり」「中立」「問題なし」で分類すると、15日の時点で「問題あり」が50.4%、「問題なし」が3.9%だった。ところが16日になると世論は逆転し、「問題あり」が17.1%、「問題なし」が21.6%に。その後は炎上が収束するまで、批判、擁護の拮抗が続いていく。

興味深いのは書き込みの絶対数だ。15日の書き込み数は約1700件、16日が約1万8000件、17日が約2万3000件と、発火直後より延焼した後のほうが世間の関心は高い。つまり、書き込みが少ない発火直後は批判的意見が多いものの、広く知れ渡った後は擁護的意見が優勢、あるいは拮抗する。

この傾向は他のCM炎上においても同様だ。多数のインターネットユーザーからよってたかって批判されているようだが、本当はごく一部のユーザーが問題視しているだけなのである。