医薬品で儲けを稼ぎ出すビジネスモデル

そうしたドラッグストアのビジネスモデルは、「売上高÷仕入れ高」の数字に端的に示されているといっていいだろう。

たとえば、マツモトキヨシHDの場合、医薬品の売上高1656億円は、医薬品の仕入れ高1015億円の「1.63倍」である。同じように化粧品は1.39倍、雑貨は1.30倍、食品は1.14倍だ。もちろん、各社で倍率に微妙な差異はあるが、医薬品の倍率は高く、雑貨や食品は限りなく低く、化粧品はその中間ということでは共通する。

『図解!業界地図2018年版』ビジネスリサーチ・ジャパン著 プレジデント社

売上高を仕入れ高で除した数値が高ければ高いほど、粗利益率が高いと判断できる。つまり、ドラッグストアは、医薬品で確実に利益を確保する一方で、化粧品や日用品、雑貨、食品、飲料水などは仕入れ値に近い低価格で販売することで、スーパーやコンビニ客を取り込んでいるわけだ。

会社全体の収支でいえば、ディスカウントショップも展開するサンドラッグを除く3社の原価率は、71%前後とほぼ横並びである。1000円の商品でいえば、仕入れ代金は700円ちょっとで共通しているということ。経費率の高低で儲け(営業利益率)が異なっているが、各社とも確実に利益を確保していることも明らかだ。

業界トップに立ったウエルシアHDの国内店舗の平均像を確認しておこう。1店舗1日平均の売上高は、110万円を上回る。運営スタッフは、薬剤師が2人強、登録販売員が6人弱といったところだ。構造物など店舗の資産価値は5000万円台である。また、年度末の在庫と売上高から計算すると、ウエルシアHDの店舗では、ほぼ1カ月ですべての商品が入れ替わっていることになる。

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