ボーナス時の返済額は60万円

「天気の良い日は、自転車で汐風を感じながら通勤なんていうのもいいですよね」

旦那さんも新しい生活を夢見てまんざらでもなさそうです。

ローンの借入額は、夫婦で合わせて総額6500万円です。返済当初の金利が低い変動金利を使って期間を35年と長めに設定すれば、毎月の返済額は16万円強、ボーナス時は60万円です。年間返済額は280万円ほどとなり、年収1000万円超の夫婦からすれば、十分に支払えるレベルです。なおかつ、2014年から変更された住宅ローン減税制度の所得税控除分は年間で40万円となりますので、実質の支払い負担額は減税が適用される最大10年については年間240万円です。現在、彼らが住む家の現在の家賃は月々15万円ですから、これは「買うしかない」という結論になったというわけです。

しかし、なぜ家を買う必要があるのでしょうか。奥さまはこう言います。

「このタワーマンションが完成する2年後には、上の子が小学校でしょ。今の家は2LDKといっても部屋は狭いし、子ども部屋が欲しいですよね。幸いこのタワーマンションの建つエリアには保育園も併設されるみたいなので、子どもを預けてすぐに会社へ向かえるのもいいですよね」

「物件を売って儲かるかもしれない」

やはりお子さんのことが第一のようです。保育園不足が社会問題となる現在、特に近くに保育園ができることが決め手となったのでしょう。しかし、気になるのは何といっても35年もの長期間にわたる住宅ローンです。大丈夫ですか、と私が聞くと、奥さんは次のように言いました。

「ええ、たしかにローンは長いですね。35年だと60歳を過ぎるので、退職時にもローンが少し残る計算ですが、年齢が上がれば給料は増えるだろうし、残ったら退職金で返してしまえばいいかなと思いました。これからも生活費は切り詰めて、貯金ができたらその都度、期限前返済をしていけば、なんとかなると思っています」

なるほど、もっともな理由です。続いて旦那さん。

「僕も人生、住宅ローンに縛られるのはちょっとどうかなとは思っていますが、家族のためですし。それにローンを支払っていけば、いずれ家は自分のものになるわけでしょう。湾岸部のこの場所は、2020年の東京オリンピック以降も発展すると聞きました。欲しい人が増えて人気のエリアになれば、途中で物件を売って儲かるかもしれないじゃないですか。ま、それもありかなと思っているんです」