▼資産運用は2人で一緒にコツコツと
花輪夫妻は同時失業の経験から、もしまた同じことが起きても2年は生活できる貯蓄を用意することを決意。
「目標金額が1000万円で、貯まるまでは資産の大部分を安全資産で保有していました。株もやっていましたが、お小遣いを少額投じて、半分勉強でやった程度です」
目標の1000万円は、退職金なども含めて2年ほどで達成。その後は、以前から勉強していた株式投資、投信積み立てなど元本割れリスクのある商品の割合も増やした。
基本的に資金は2人の収入から拠出。運用方針も夫婦で話し合って決めるルールだ。
「運用資金は夫婦2人分をまとめたほうが元本が増えるので、投資をするうえで有効と考えました。以前、お小遣いで短期のデイトレードなどをして失敗した経験も踏まえ、リスクを抑えながら年3%程度の利回りを目指して運用していました。ただ、いまはシンガポールに移住した関係で、資産の内訳は預貯金と夫の自社株のみです」
(31歳)失業時は貯金ゼロ。再就職して多少生活が安定してからは、元本割れリスクのない資産を中心に保有し、貯蓄感覚で投信積み立てを開始。投資の勉強として少額で株式投資も。
(32歳)預貯金が1000万円を超えてからは、株式やE TF(上場投資信託)などへの投資を実行。
(36歳)シンガポール移住に伴い、株式や投資信託を売却。現在保有するのは俊行さんの会社の自社株のみ。預貯金の大半は日本円で、外貨は生活費のみ。今後、外貨の割合を増やす予定。
▼小遣いは減らさず、自分への投資は惜しまず
失業直後はエアコンのない部屋に住み、そのまま2年間もエアコンなしの生活をして節約に励んだ花輪夫妻。一方で、削りすぎないように心がけていた費目もある。それが、食費と小遣い、さらにキャリアアップにつながる自己投資だ。
「食費はある程度は節約していましたけど、やみくもに削りすぎると健康に悪いので、健康への投資だと考えて使うべきものには使っていました。あとは夫婦のお小遣いですね。息が詰まってしまっては、節約は長続きしません。自分たちの楽しみのためのお金は削りすぎないよう注意しました」
花輪さんは洋服、俊行さんはデジタル機器を小遣いで買うことが多いが、それに関してはたまに好きなものを買っても、お互い大目に見ることにしているという。
「ほかに、勉強のための書籍代には、失業直後の緊縮財政のときにも惜しまず使っていました。図書館も活用しましたが、どうしても必要なテキストが多く、そこは惜しむべきではないと考えて買うように。また、私の場合、独立直後は人脈形成のためにセミナーなどの集まりに積極的に参加するなど、交際費にお金をかけていました」
そのおかげもあり、花輪さんはFPの仕事を早々に軌道に乗せることができた。
2015年から、俊行さんの仕事の関係でシンガポールに移住。さまざまな国の人と交流するなかで、ますます“将来への投資”に対する欲が出てきたという。
「シンガポールは物価が高くて、実は家計はちょっと苦しくなっていますが(笑)。子供が生まれてからは、“教育”という投資についても夫婦でよく話し合っています」
ファイナンシャルプランナー。外資系投資銀行を経て2009年より現職。メディアやセミナーを通して多様なマネー情報を発信。そのわかりやすさに定評がある。近著に『お金持ちになる女はどっち?』(PHP研究所)。