▼元祖恐妻家!哲学者・土屋賢二の弁明
口ごたえなんかしたら、毒を盛られますよ

哲学の世界だと、悪妻で有名なのはソクラテスの妻です。家に友達を連れていくと奥さんが怒ってソクラテスにバケツの水をかけた。しかしソクラテスは「にわか雨に降られて怒る人はいないよ」と意に介さなかったとか。そんな反応されたら、女の人は余計に怒ると思うんですけどね。少なくともウチの妻なら激怒して、家から追い出されます。

口げんかになったら男は女に絶対に敵いません。僕たち哲学者は言ってみれば議論の専門家ですが、例外なく妻にやり込められている。ケンブリッジ大学に僕が尊敬する論理学者がいます。彼が「このセーターは欠陥品だからとりかえてくれ」と雑貨店にクレームをつけているのを聞いたことがあるんですが、若い女性店員は最後まで「ノー」。最強の論理学者でさえ、女の人には勝てないのかと。

勝てない理由を考えてみると、まず女の人は謝らない。自分が正しいと思っている。男は普段から会社などで叩かれていますから「ひょっとしたら自分のほうが間違ってるかも」という不安が常にあるんですね。それでつい謝ってしまう。あと、男が理屈を持ち出すと女は「器が小さい」と言うでしょう。そこを突かれると、男は非常に弱い。言い返せなくなります。

純粋に議論させても女は強いんです。長年、大学で学生を教えてきた経験から言ってもそうですし、小さい頃から女は違う。あるとき、小学生の男の子と女の子が同級生に「おまえらつきあってるんだろう」と冷やかされているのを見ました。男の子は黙って俯いているのに、女の子は「違うもん、つきあってるっていうのは、一緒にアイスを食べることだもん」。つきあうとはどういうことか、自分で定義するんです。これをされると誰も反論できません。それでいながら多分、女の人は論理の力なんて大したことがないと思っている。そこがすごい。男にしたら「論理で言い負かせば自分の勝ち」、でも女は「勝ったから何?」で、その先の利益を求めるでしょう。「謝ってすむなら警察はいらない」とか言ってバッグや靴を買わせたりして。どうやっても、男は女に勝てません。毒を盛られないだけ良かったと思って、黙って嵐が過ぎるのを待つしかありませんよ。

土屋賢二
哲学者。1944年、岡山県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。お茶の水女子大学教授を経て、現在お茶の水女子大学名誉教授。『純粋ツチヤ批判』(講談社文庫)、『教授の異常な弁解』(文春文庫)など著書多数。
(構成=東 雄介 撮影=大槻純一、有本ヒデヲ)
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