社長も「フツーの人」と同じ

――「徒然日記」の内容を見ると、「青春18きっぷ」を使って東北まで片道旅行した話や、スポーツ観戦やコンサート、造詣の深い歴史の話など多彩な内容です。京都の社寺を見に行った帰りに、地下鉄の階段を踏み外して転んだ話のタイトルは、「テリー、またも転倒」でした。

社長というと偉そうですが、休日にやっていることはフツーの人と同じです。カッコ悪い話も含めて紹介することで、親近感をもってほしい。「徒然日記」は、ブラザー工業の国内従業員に向けて日本語で発信しています(一部メッセージは英語版もあり)。この手のブログは、最初は気合いが入っていても、半年ぐらいで失速……というパターンが多いと思いますが、私は伝えたいことが次々に浮かんでくるので、ネタに困ったことはありません。だからスタート当初は週1回だったのを、月曜と水曜の週2回にしてもらい、女性編集長の支援で続けることができました。

個人的な思いを伝えつつ、メッセージも込めています。前文にあたる部分は毎回同じで、「私がこれまでいつも心がけてきたのが、(1)明るく・楽しく・元気にということ、(2)人とのつながりを大切にするということ、(3)常に何事にも好奇心を持つこと、の3つです。普段お目にかかれない方たちにも、私がどんな人生を送ってきたのか、どんな日々を過ごしているのかを垣間見ていただければと思います」――を掲げ、その後で本文を書きます。

社内の8~9割が読んでくれている

――社内の反響はいかがですか。社長に親近感を持つ一方で、「ウザい」と思う人もいるのでは?

反発を抱いている人もいると思います。ただ、スタート当初から今に至るまでアクセス数が減っていないのです。1回掲載すると国内従業員でPC端末を持つ人のうち8割から9割の人が読んでおり、昼食時や社内対話の際に各部署の従業員と話しても、ブログに書いた話がよく出てきます。昔から「期待されていると思うと、より一層頑張れる」タイプでしたが、休日に、今日はのんびり過ごそうと思っても、ネタづくりのために外出することもします。

社内行事にもできるだけ顔を出します。たとえばブラザーの国内工場では、地域住民との交流や従業員や家族の慰労を兼ねて行う、毎年の「夏祭り」が名物イベントです。私もスケジュールが許す限りは、一参加者として最初から最後まで会場にいます。ふだん接する機会が少ない従業員や家族の方と話し、世間話から刺激を受けることも多いからです。

公式行事以外でも、有志の「野球大会」に誘われれば参加しますし、若手社員からの「飲み会」のお誘いがあれば、せっかくのチャンスなのでまず断りません。

「テリーの徒然日記」の内容