NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」やTBS系「情熱大陸」といった人気番組に登場する人たちは、どなたも長時間労働者であるように見えます。ある番組では、カリスマとよばれる医師が、自らの生活を犠牲にしながら患者のために働く姿に感動させられました。もし一律の労働時間規制が進めば、こうした番組も成り立たなくなるのではないかと心配します。

「働き方改革」によって過労死は減るかもしれませんが、日本の将来に対して不安も抱きます。敗戦後の奇跡的な復興について、長時間労働が貢献した割合は少なくなかったはずです。現在では時短推進の中心的役割を担っている、中央省庁、新聞やテレビなどのマスコミ、弁護士なども、これまで長時間労働の代表格でした。これからの日本は、かつてとは違う働き方で、将来をつくっていかなければいけないのでしょう。

勤務時間も「分勤」のススメ

働き方改革の趣旨自体に異論はありません。ただ、改革を急ぎすぎれば、さまざまな副作用ももたらします。そこでひとつ提案があります。

昔は「全面喫煙可能」というオフィスも珍しくありませんした。ところが、今ではほとんどNGです。その代わり、「喫煙スペース」が設けられ、禁煙者との分煙が浸透しています。電車やレストランなども同様です。

勤務時間も、分煙ならぬ“分勤”を認めるようにしてはどうでしょうか。

定時で帰りたい人もいれば、寝食を忘れて仕事に打ち込んで実力や収入を伸ばしたい、という人もいます。時間の自主判断ができない職種、たとえば工場の製造ラインで働く人や、小売り・飲食業などの店頭で働く人に対して、一定の規制を設ける必要はあるでしょう。一方で、クリエーティブな仕事や高い専門性が求められる業務については、成果やアウトプットで評価し、投入する時間やプロセスは本人任せでもいいのではないでしょうか。

今からでも可能な法的施策としては、「裁量労働制の適用拡大」や「本人選択による残業規制の適用除外」といったことが考えられます。社員とフリーランスの中間のような働き方のイメージです。

テレビ番組で取り上げられる「プロフェッショナル」に対して、長時間労働を懸念しなくてはいけないというのは、どこか違和感があります。業務の専門性について、さらに踏み込んだ議論が必要ではないかと思います。

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