そして、警告を発するに至った最大の理由が睡眠障害である。米兵たちは、往々にして眠気を振り払うためにエナジードリンクを飲むが、それが睡眠障害に繋がってしまう。睡眠6時間前以降のカフェイン摂取は睡眠障害になりかねず、3日以上連続して飲んだ人間は、作戦行動中やブリーフィング時に居眠りをする可能性があると米陸軍は報告している。また別の調査では、1日5~6時間の睡眠がもたらす結果は、血中アルコール濃度0.08%(ウイスキー3杯もしくはビール瓶2本)の酩酊状態に匹敵するとしており、大変危険なのである。

では、兵士たちはどうすればよいのか。米陸軍の結論は、「水でも飲んでろ」。お金もかからないし、健康的という実に単純明快な説明だ。

だが、いつの世も、科学と根性論は相性が悪い。科学的見地に基づいた忠告に対し、現場の一部からは反発の声があがった。戦場経験のある元軍医はこのように語る。

「米陸軍の声明は、善意に基づいているが現実を無視している。2時間睡眠で、12時間のパトロールが必要な場合だってあるが、大量の砂糖とカフェインを飲まねばやってられない。タウリンに効果がない? タウリンは大きな雄牛の睾丸から抽出される。だから牛のように強くなれると『感じる』のだ」

冗談だとしながらも、やけくそな現場の本音を述べているとみるべきだろう。ただし同情はできても、説得力のある意見ではない。

米陸軍は効果が怪しく、リスクばかりと評したが、しょせん、エナジードリンクとは幻でしかないのかもしれない。だからこそ、幻は幻としての付き合いが肝要だろう。要するにロマンを飲むものとして、自らの危急存亡のときに1本だけ飲むものであって、本気になって何本も飲むようなものではないのだ。あなたの健康と美容のためにも。

(時事通信フォト=写真)
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