いまだトップチェーンとの間には、日販の差がありますが、あまり心配していません。この1年半ほどの改革で、すでに商品力では負けていないと感じているからです。お客様の反応は本当にわかりやすくて、美味しいものをつくれば絶対に売れるんですよね。最近では、昨年10月に発売したファミマラーメンが1日10万食売れるヒット商品になりました。麺を低温熟成し、チャーシューもスープも専門店の味を追求、これまではレンジで温めても70度程度が限界だったのを、お店で食べる80度あたりの熱々の状態で味わっていただけるようになりました。

「健康」も次の時代において大切です。かつてはコンビニのメーンターゲットの若い男性向けにボリュームたっぷりの弁当を提供していればよかったのですが、今は老若男女、あらゆる層が私たちのお客様になってくださっています。

もっとも「健康」というのは意外と定義が難しい。若者はやはりカロリーやカルシウムを摂らなくてはならないし、中高年で糖尿病を気にする方は、糖質をカットし野菜を多く摂りたい。高齢者の方は少なめでもカロリーは必要になる。状況や年齢によって「健康」は変化するので、それぞれに合わせた選択肢が必要です。現在は、病院の栄養士と組んで、塩分控えめの弁当開発などにも取り組んでいます。

ドラッグストア、農協と手を組む

異業種との一体型店舗に関しては、ドラッグストアとの提携はもちろんですが、農協との一体型店舗も面白いですよ。地方では過疎傾向のエリアも多いですが、店内では産地直送の新鮮な野菜や米が選べ、コンビニの便利な品揃え豊富な商品も買える。何より新しいのは、そこが地域の新たなコミュニティになりつつあるということです。地元の皆さんがコンビニのコーヒーを飲みながら、イートインスペースに集まってくださっています。

「あなたと、コンビに、ファミリーマート」が我々のキャッチフレーズですが、お客様の長い人生に寄り添って歩んでいくための、様々な可能性を今後も探っていきます。

(三浦愛美=取材・構成 原 貴彦=撮影)
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