顧客が本当に価値を置くものとは
製品構成の複雑さは、その企業が顧客のことをよく知らないことを物語っていることがある。たとえば、顧客調査で顧客が「より多くの選択肢」を求めているという結果が出たとき、これを額面どおりに受け取る企業がある。だが、ある大手スーパーマーケット・チェーンはもっと賢明だった。この会社は、売り場の商品を増やすという高くつく措置の代わりに、もっと詳しい調査を行った。そして、顧客が本当に求めているのはより多種類の商品ではなく、欲しいものを欲しいときに見つけられることだと気づいた。多くの珍しい商品が売り場に並ぶことに価値を置く顧客はほとんどいなかった。それより、人気商品が往々にして品切れになっていることに不満を抱いていたのである。
この結果を受け、同社は、商品の種類を減らして、個々の商品により大きな陳列スペースを設けた。結果、売り場はすっきりし、買い物客が探しているものを見つけやすくなって、売り上げは増大した。商品の種類を減らすことが売り上げ増につながることを、さまざまな企業が認識している。一部企業では、5%の商品の売り上げが総売り上げの95%を占めることもある。