レジリエンスを習得可能なものにすることの根底にあるのは、1人ひとりが備える独自の強みに働きかける姿勢もさることながら、「自分の人生は変えることができる」とするコミットメント(全人的関与の姿勢)であると、ペンシルベニア大学のK・ライビッチとA・シャテーの両博士は指摘する。

「世界経済が失業、破産や他のストレスによって過去に類の無い犠牲を払っている今こそ、しなやかさを育み強化する最適な時かもしれない」と語る一橋大学大学院のパトリシア・ロビンソン博士も、コミットメントの重要性を指摘している。

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図3:レジリエンスのレベルが高い人、低い人

ロビンソン博士は、新聞メディアで『Resilience at Work』(『仕事ストレスで伸びる人の心理学』ダイヤモンド社刊)を取り上げ、米イリノイ・ベル電話会社に勤務する450人の管理職を対象に実施された12年間の調査に基づく結果分析を紹介している。

同社の事業縮小に伴う失業や、組織改変に伴う大きな変動を経験した半数以上の従業員のうち、約3人に1人がストレスに耐えただけでなく、そうした経験から成長した様子を見せたことが判明したという。

図3は、同じ逆境を経験しても、それを乗り越える人とそうでない人との間で観察された、共通した特徴を要約したものである。ここでもコミットメントという要因がいかに重要であるかがわかる図式となっている。

※なお、本稿でご紹介した「強み」に関する詳細については、クリストファー・ピーターソン著『実践入門 ポジティブ・サイコロジー――「よい生き方」を科学的に考える方法』(春秋社)をご参照いただきたい。また、VIA-ISは、「ポジティブ・サイコロジー ペンシルベニア大学公式ウェブサイト」(www.authentichappiness.sas.upenn.eduにて「日本語」を選択)で無料でオンライン利用できるようになっている。わが国でも現在、こうした測定法の公開を含めて、ポジティブ心理学の応用・実践面について実際に検証していくためのスタートラインが徐々に整いつつある状況にある。