「患者力」を鍛える5つの力とは
●知る力
体の仕組みや病気と医療の意味を正しく知ることは大切です。医療は病気を治すためにあるものですが、医療機関に行くまでもない病気もたくさんあります。その代表が風邪です。風邪をひいたら、当然のように医者に行く人が多くいますが、風邪の原因となるウイルスをやっつける薬はありません。医者が出している薬は、すべて症状を抑えるための対症療法でしかなく、本当に治せるのは、体を温めて休養をとることだけです。
しかし、仕事や子育てなど、やるべきことがあって休んでいられないという場合もあるでしょう。そういう場合は、市販の風邪薬でも十分です。
驚くことに、風邪の診断で抗生物質を処方する医師がいるようですが、風邪で抗生物質を出すのは世界でも日本くらいです。抗生物質は細菌をやっつけて感染症を治すのに効果を発揮しますが、風邪のウイルスには効きめがありません。それどころか、抗生物質をとることで、腸内にある善玉菌まで殺して、免疫力を落としてしまうといった残念な弊害があるのです。
●見抜く力
風邪対策ひとつとってもそうですが、簡単に医師のいいなりにならないよう、見抜く力を養ってください。患者が医師と対等な関係になるのは難しいでしょうが、まずは自分が信頼できる医者かどうかを見極めることもひとつです。ある治療法を提案されても、他の治療法や可能性はないか聞けたり、自分が知りたいことをきちんと聞ける医者が一人でもいると患者力は上がります。
●自己決定力
患者さんが医療を難しく感じたり、わからないというのは理解できます。しかし、だからといって、誰かに自分の治療法の決定を任してしまうのではなく、「自分で決める」という意志を持ってください。自分がどうしたいのか、といった希望や目的を持ち、そのためにはどうすればいいのかを考えてほしいのです。そうでなければ、医者は患者さんの納得のいく医療を提供することができません。
医者は、学生時代から、患者さんを治すために全力を尽くすよう教わり、それを実践しています。ですから、患者さんの希望を聞かないまま医療を施し、それが患者さんの意思と異なっていれば、双方にとって喜ばしくない結果を生みかねません。