──ここにきて銀行は、金融とテクノロジーを融合したフィンテックへの対応が急がれている。
【小山田】フィンテックは、銀行のビジネスを大きく変えていくだろう。私は、異業種と競争するという認識ではなく、上手に取り込んでいくべきだと考えている。そのために今年1月、「イノベーション・ラボ」という組織を設けた。外部のアイデアを取り入れるオープンイノベーションの手法を用いていく。
同時に行内でも、昨年設置したデジタルイノベーション推進部を中心に、フィンテック関連のプロジェクトが30~40、稼働している。例えば、IBMが開発した人工知能ワトソンを使い、お客さまからの問い合わせに対する回答の精度を高める取り組みを開始している。今後は、「ロボアドバイザー」と呼ばれる、人工知能を活用した資産運用サービスも手がけたい。
──当然、社員の意識改革も必要になってくる。
【小山田】「イノベーション・ラボ」で働く行員には、「7割失敗してもいい。成功確率3割を目指せ」と言っている。これまでの銀行では、ミスを限りなくゼロにすることが仕事の進め方の基本だった。だが、新しいビジネスは、トライ&エラーを繰り返さない限り、生まれてこない。
全社を挙げての意識改革も必要だ。現在、仕事上のルールやプロセス、手続きを簡素化する「働き方改革」を推進している。行員が新しいアイデアを考えるための時間をつくり出すことが必要だ。
1955年、東京都生まれ。都立戸山高校、東京大学経済学部卒業後、79年、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。恵比寿支社長、執行役員企画部長、専務執行役員営業第一本部長などを経て、2014年副頭取。16年4月より現職。