病気は必ず人間関係に問題を抱えている
●「隠されたコミュニケーション」を暴く
最初に私が見るのは、「隠されたコミュニケーション」です。病気の裏側には必ず、誰かに何か言いたいことが言えていないなど、周囲の人間関係の問題があります。まずそれを探し出します。
認知症の患者さんは家族間での問題が多いようです。私は患者さんに対して、繰り返しこう言います。「私の前では認知症は通用しませんよ。一体何のために認知症になっているのですか?」と。しばらくすると、「子どもに遺産を渡したくないから」だとか、「夫の面倒をみたくないんだ」など、何らかの返事が返ってきます。逃げ出したいことがあると認知症になって逃げ込むのがありがちな特徴のようです。
がんになる人も、「上司に不満がある」「夫が浮気をしている」「姑とうまくいっていない」など、必ず何らかの理由が返ってきます。しかし、なかなかそれが口に出せなかったために、病気という形で体が表現をしているようです。
こうした不満や口にしてこられなかったことを、カウンセリングの最中に引き出します。
●病気に対して、主体的か受け身であるかを確認する
次にその人の意識の中の「フィルター」を確認します。私たちは、物事をさまざまなフィルターをかけて見たり判断する癖があります。「男は○○だ」「日本人は○○だ」などの固定観念もフィルターのひとつです。「○○でなければならない」「○○しなければならない」という思い込みもそうです。また、原因を他人に見出すか、自分に見出すかもフィルターのひとつです。仕事でミスがあった場合、自分で防げなかったことを反省して、次回はミスをしないように前向きになる人もいれば、誰かのせいにして延々と恨む人もいるでしょう。何かの事柄が起こったとき、自ら考えて行動を起こすのか、周囲がそうするから自分もそうするのかなど、原因をどこに置くかで結果が変わってきます。