社会性と自分性
このような、自分にとって主観的で内面的なものは、先輩のアドバイスや専門家の知識を取り入れて訓練したところで、決して充実しないわけです。むしろ、人から与えられた手法や基準を意識すればするほど、それにとらわれて窮屈になり、疲れてしまいます。
自分の内面的な世界を広げたり、深めたりしていくためには、社会的な水準やレベルを追い求めるのではなく、自分の心の声や感覚に素直に向き合うことで、人生の途中段階、プロセスを楽しまないといけないのだと思います。僕はこれを、社会性に対して、「自分性」とよぶことにしています。
社会的には損をするのかもしれないけど、どうしてもこだわりたいこと。人から見たらムダなことかもしれないけど、やってみたいこと。一度立ち止まってでも、自分の中で納得がいくまでしっかりと考えてみたいこと。
自分を尊重して、内面を充実させるための行為や決断は、短期的には社会的なデメリットがあることかもしれません。もちろん、仕事や生活を維持するためには、なにもかも自分の感覚通りに決断するわけにもいきません。
複雑な社会環境の中で、いろいろなものとのバランスをとりながら「自分性」を高めていかなければならない。そんな難しい時代になってきました。