盲点なのは「2人目の予定」
セクハラについても同じだ。セクハラとは「相手方の意に反する性的言動」と定義される。すなわち、分水嶺は「相手側の了解」だ。
よく受ける相談は、「最近の若い女性は……」と女性を一括りにするような発言。女性社員を「○○ちゃん」と呼ぶことも、古典的だがいまもよく聞く。親近感を持って接しているつもりだろうが、女性によっては気分を害することを認識しておこう。
年齢や彼氏の有無、結婚や子どもの予定などについて聞くのももちろんアウト。意外と盲点になっているのは、2人目の予定だ。産みたくても一人しか産めないという女性もいるのだから、そのあたりは踏み込むべきではない。
最近、社会問題化しているのがマタハラだ。これだという定義はないが、私は、「働く女性が妊娠・出産・子育てなどをきっかけに精神的肉体的な嫌がらせを受けたり、解雇や雇い止め・退職強要や降格などの不利益をこうむること」と理解している。
言葉というよりも、妊娠・出産を理由にした、もしくはそれが理由としか考えられない不利益な処遇を受けた、という相談が多い。言動でいうと、妊娠がわかったときに「これでまた人繰りを考えないといけなくなった」などとネガティブな受け答えをしないこと。2人目ができたときに「またできたの?」などと言うのもご法度。妊娠・出産をマイナス評価にしない、ということが大前提だ。
ここまでの事例を見て、「こんなにNGだらけではコミュニケーションがとれない」と感じた人もいるかもしれない。だが、基本的には「相手の人格を尊重する」ことに尽きる。わかりやすく言えば、相手を“社長の娘”だと思って話すことだ。社長の娘の人格を傷つけるようなことはできないのではないだろうか。共に働く仲間を尊重し合える職場づくりを心がけよう。