課長も部長もなしボーナスも同じ
【田原】猪子さんは学生のころにチームラボを立ち上げた。最初は何をやろうと考えていたのですか。
【猪子】僕らが学生のころ、ちょうどインターネットが世に出た。すごく抽象的ですけど、それを見てデジタルが人類を前に進ませると感じました。デジタルテクノロジーによってイノベーションが起きて社会が変わるかもしれないし、デジタルという概念が生まれたことで新しいアートが生まれて、人々の価値観が変わるかもしれない。いずれにしても社会を前に進ませたいと思って、仲間5人でチームラボをつくりました。
【田原】最初から仕事はあったの?
【猪子】ぜんぜん。テクノロジーはビジネスにならなかったし、アートもつくっていましたが1円にもならなかった。仕方がないから、請け負いで友達の会社のホームページをつくったりしていました。そうやって頼まれたものをつくっているうちに会社は大きくなったけど、本当は、いま展示しているような作品をつくりたいとずっと思っていました。
【田原】じゃあ、夢がかなったわけだ。ちなみにこの企画展は、どれくらいの人が来ていますか。
【猪子】37万人(2015年4月17日現在)です。遊園地はいままでいろんな場所でやってきて、それも含めると100万人かな。
【田原】東京以外だと、どこで?
【猪子】全国で何十カ所とやってます。海外だと上海や台湾、アメリカでもやりました。
【田原】聞きにくい話を聞くけど、チームラボは採算取れるのですか?
【猪子】この展覧会だけでは、いままでかかった全額は回収できていないです。ただ、全国各地でやっているし、今回展示しているアートは海外で売れたりしているので、合計すれば何とか採算は取れているんじゃないかと。
【田原】失礼だけど、猪子さんも採算のことを考えていらっしゃるんだ。
【猪子】考えますよ。採算が取れないことが続くと潰れちゃうから。採算の合わないことが多いから、むしろいつも頭から離れない(笑)。
【田原】ちゃんと社長やっているのは意外でした。
【猪子】いや、ちゃんとはできていないですけど。