【田原】前に話をうかがったとき、「チームラボには課長も部長もいない。社員を管理する必要はない」とおっしゃっていました。チームラボは、いわゆるピラミッド型ではなくフラット型の組織だ。ボーナスもみんな同じだそうですね。

【猪子】そうですね。決算の状況に連動して、社長も社員も同じ額です。

【田原】給料はどうですか。

【猪子】給料はバラバラですよ。昇給はいいかげんで、「あいつはすごい活躍をしているらしい」という話になると上がります。

【田原】やっぱり猪子さんのところは独特だ。引き続き注目しています。頑張ってください。

田原さんへの質問:いまの社会は細かいことにうるさくて窮屈です

【田原】社会が寛容さを失ったのは、ツールが発達して便利になったことと無関係ではない。昔は僕がテレビで無茶をすると、電話でクレームがきた。電話は1対1だから、プロデューサーが「二度としません」といえば話がついた。しかし、いまはネットを通じてクレームが届く。その結果、小さな失敗さえ許さない空気が蔓延してしまった。

同じことは社会全体で起きています。残念ながらツールの発達は止まらず、これからも細かいクレームが次々に届くでしょう。しかし、社会を変えたいなら、クレームを蹴散らすくらいの力強さを持つことが大切。同時に、人の失敗に対しては寛容でいることが、生きやすい社会をつくると思います。

遺言:クレームを蹴散らす強さを持て

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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