以後私は、何が起こるかわからないという前提で、「いかに大きく儲けるか」より「いかに大きな損失を回避するか」に投資の重点を置くことにした。そしてたどり着いたのが、インデックスファンドを複数組み合わせた国際分散投資という方法論なのだ。

とはいえ、頻繁な売買は手数料や税制面で不利。ポートフォリオ見直し・修正のタイミングは、年1回か、多くても3カ月に1回で十分だろう。

見直し、修正を自動的に行ってくれる、「バランスファンド」というファンドもある。個人的におすすめなのは、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」だ。日本、海外先進国、新興工業国それぞれの、株式と債券の指数に連動したインデックスファンドを組み合わせたファンドだが、各地域への資産配分を、それぞれのGDP(国内総生産)が世界経済全体に占める割合に比例させている点に特色がある。

日本のGDPが世界経済に占めるシェアは、13年の統計で5.4%。もし3つの地域に投資資金を等分したとすれば、世界経済の実態よりはかなり日本にウエートを置いた投資をしていることになる。分散投資によるリスク低減を目指すなら、GDPシェアに即した資金配分というポリシーは合理的といえる。

この考えを一歩推し進め、投資期間の経過に沿って資産構成を変えてくれる商品「ライフサイクルファンド」もある。たとえば野村アセットマネジメントの「野村資産設計ファンド」は、設定した投資期間の前半はリターンを狙って内外の株式やREITに積極的に投資し、後半になるにつれて安全な国内債券の比重を大きくしていく調整を、お任せでやってくれる。

現状では信託報酬などがやや高いこともあり、さほど人気を集めているとはいえない。とはいえ投資のセオリーとしては王道で、今後このジャンルのファンドが脚光を浴びることもあるかもしれない。

(構成=川口昌人)
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