実は、ちゃんと「ゴマをする」というのは結構高度なテクニックが必要なんです。まず、相手の価値観を100%理解しないといけない。つまり、その上司の重視するサバイバルスキルは何かということです。以前、僕がいた研究室を例に挙げると、アメリカの大学から来たボスは、死ぬほど働くことを重視していましたが、欧州から来た部下はのんびりと結果を出すのをよしとしていました。結果、両者は理解し合えず、プロジェクトは失敗しました。もしボスに気に入られたかったなら、死ぬほど働くフリをする必要があったということです。

しかし、ゴマすりは短期間しか通用しません。利益を出さない部下は、一時的には可愛がられても、最終的には切られます。利益といっても「(上司の好きな)野球の試合のチケットとりました」という表面的なことではダメで、仕事に直結する利益です。「俺と同じ価値観で、しかも俺に利益を与えてくれる」。これが男のボスから見た一番優秀な部下なんですね。

ここで大事なのは順番で、まずはゴマをすって次に利益を出す。この逆はダメです。最初に利益を出そうとしても、ボスに協力をしてもらえず、足を引っ張られる可能性が高いからです。

例えば営業職で、新規開拓至上主義の上司に、旧来の顧客を大事にするという自分の考えを理解させたいなら、まず新規開拓という上司の戦略を肯定し、さらに数字を上げて利益を出す。ここでやっと上司は自分の言うことを聞いてくれます。価値観の違うことを言っても「おまえの言うことも一理あるな」となる。ここで初めて、ゴマすりは意味がある戦略となるのです。

理学博士、恋愛カウンセラー 
ぐっどうぃる博士
(ぐっどうぃるはかせ)
自身の体験と生命科学的な視点を合わせた独自の恋愛メソッドを展開し、日本最大規模の恋愛相談サイト「恋愛ユニバーシティ」を主宰。最新刊に『モテの定理』。
(構成=白河桃子)
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