では、仮に問題の肉を食べたことが判明すれば、損害賠償を請求できるだろうか。
「健康被害があれば、店側は過失であるかどうかにかかわらず製造物責任を負うため、損害賠償の対象になります」
健康被害がなかったケースはどうか。お腹をこわさなくても、工場の映像を見て気分が悪くなった人は多いはずだ。
「アメリカなら精神的苦痛について賠償が認められそうですが、日本では難しいと思います。期限切れの原料を使った食品を提供したことを理由に契約解除して代金の返還を求めることも考えられますが、ナゲットの代金のために訴訟を起こすのは現実的ではありません」
賠償請求が認められないなら、せめてチェーン飲食店だけでも原産地の公表を義務づけ、消費者が自分で事前に選択できる仕組みにしてほしいものだ。石川弁護士の見解はこうだ。
「行政は、安全でないものは流通させないというスタンスで、表示によって消費者に判断させる必要はないという考えです。しかし、なかには国の安全基準に疑問を持つ人もいる。そういう人に、買わないという選択をさせるよりも、情報を表示して自分で選んでもらうほうが合理的。今後、表示義務が拡大することを期待しています」