2.お金について知らないとどうなる?

――逆に、ファイナンシャル・リテラシーが低い人はどのような間違いをしがちでしょうか。

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【キヨサキ】彼らが陥りがちなのは、「なにもしない」という選択をすることです。英語には「頭が混乱している人はなにも決断しない」という意味の言い習わしがあるくらいですからね。確かに、誰でもお金や投資のことはわかりにくいと感じるでしょうし、特にファイナンシャル・リテラシーが低い人は、お金のことで決断をするのは難しく感じ、怖いと思ってしまうでしょう。「自分には正しい判断をするだけの知識がない」と言って、思考が停止してしまう人もいる。私はこの状態を「分析能力麻痺」と呼んでいます。

今私たちが置かれている市場では、お金を動かし、働かせることが重要なのです。私はこれを「お金の回転」と呼んでいます。現在の経済状況において、ただお金を預けているだけの人は敗者だと言えます。預金しても利息が低いのでリターンは少ないですし、インフレになれば現金の価値は下がってしまうのですから、お金を貯め込むことは損なのです。

また、限定的な金融知識しか持たない人は、期待するほどの運用成績があがらないようなものに、とても大きな投資をしてしまうことがあります。このような失敗をしてしまうと、その悪影響はずっと尾を引きます。

お金を増やすための最初のステップについて、2点に絞ってお話ししましょう。1つは、「小さく始めよ」。投資は小さな金額で始め、小さなステップを踏んでいくようにすれば、大金を失うリスクを負わずに勉強することができます。私が開発した「キャッシュフロー101」というボードゲームを使えば、おもちゃのお金で練習することができます。

2つ目は、失敗は成功のもとであることをつねに念頭に置くことです。思い通りの運用結果が出なかったとしても、そこからなにかしらの教訓が得られるはずですから、結果とじっくりと向き合ってください。「今回の経験から学べることはなんだろうか。次回はどんなやり方で投資したらいいのだろう?」と、自分自身に問いかけるのです。