再増税を判断する前に騒ぎになる
【塩田】一番のカギは民主党です。党内は野党再編・結集派、独自再建派、模様眺め派に分かれていて、三すくみの状態と映ります。
【小沢】でも、大多数の人たちは自分の選挙のことを考えています。このままでは落選してしまう。幹部の人たちの思惑を持った発言に左右される話ではないと思います。もう流れに抗することはできない。
【塩田】野党の再編・結集も次の総選挙までの期限付きの話だと思います。総選挙はいつになると見ていますか。
【小沢】安倍政権が続いていれば、来年の夏の可能性があるのでは。安倍さんが辞めたら、選挙はないですね。来年の9月が自民党総裁の任期満了で、2016年の衆参同日選挙は公明党・創価学会が嫌がる。そうすると、総選挙は来年の可能性が割合強い。
野党側が候補者を決めて走らせるには、半年は必要です。そんなに時間はない。来年の4月の統一地方選挙の後ではもう遅い。でも、みんな自分の選挙ですから、放っておいても、エンジンは自然にかかる、と僕は思っています。
【塩田】安倍首相は消費税再増税を実施するかどうかを今年暮れに判断します。予定どおり実施と判断すれば、来年の10月に10%への引き上げが行われます。来年の夏だとすれば、消費税増税が数カ月後に迫っているときの総選挙となりますが……。
【小沢】消費税増税に対する影響は、再増税を判断する前、今年中にきます。その結果、安倍政権がどうなるかわからないというのが僕の判断です。再増税を判断する前に、今年中に騒ぎになる。経済指数とか、海外の情勢とか、いろいろ問題になって、安倍さんでいくかどうかということになると僕は思っています。もし安倍政権が続けば、総選挙をやれる状況でしょうが、僕は続かないのではと見ています。第1次安倍内閣と同じ状況ですが、1年後の来年の夏、あるいは12月じゃないですか。
【塩田】野党が再結集を目指す場合、政策や自民党との対立軸など、路線の問題は。
【小沢】これははっきりさせなければ駄目です。憲法と集団的自衛権の問題、原発の問題、医療や年金、雇用といったセーフティネットの問題が大きい。党が一緒になるなら、詳細まで煮詰めなければならないけど、二つ、三つの大きな点で一緒ならいいんですよ。マスコミは野党側に厳しい注文を付けるけど、大きな問題で考えを共有できれば十分です。
【塩田】今の野党各党は考えを共有できると思いますか。
【小沢】できるんじゃないですか。海江田さんも集団的自衛権の問題ではまだ中途半端だけど、少しずつ近づいている。維新は集団的自衛権の容認に賛成と言っているけど、一時、橋下さんも僕が言っているように、それなら憲法改正してやるべきだというのが正論だと話していました。そういうことなら、一緒です。原発にも反対という立場です。