LEDを使った新ビジネスの開発
このように引く手あまたの植物工場ビジネスだが、リーマンショックがなければ、やっていなかったかもしれないそうだ。
実は、昭和電工はLEDのパイオニアで、長年の経験と豊富な実績を生かして波長や強弱などの異なるさまざまなLEDを開発し、電子材料として提供してきた。このビジネスは非常に好調で、荒マネージャーは人事部から異動し、その応援に駆り出された。それが2008年9月16日だ。
「その日はちょうどリーマンショックが起こった日で、それを境に注文がなくなり、仕事がなくなってしまった。上司から『工場見学でもしていろ』と言われ、3カ月間何もせずに工場にいました」と振り返る。
その後、上司と相談し、LEDを使って何か新しいビジネスを始めようとなった。そこで、目を付けたのが植物工場だった。当時、LEDで植物を育てるという話が出てきていたからだ。しかし、昭和電工が持っていた赤色LEDは植物の栽培に最適ではなく、特殊な赤色LED、波長が660ナノメートルのものを開発する必要があった。しかし、それは不可能と言われており、当時どこの会社もできなかった。
そこで、技術陣が奮起してなんとか開発を成功させ、世の中に発表した。すると、反響がものすごく、300件以上の問い合わせがきた。荒マネージャーはLEDを持って、その1件1件を回った。