低コストでおいしい野菜が収穫できる

「感触はよかったのですが、入ってくる注文は10本単位で、とても商売にはなりませんでした。やはりコストが高かったのが原因で、それを下げることに尽力しました。と同時に植物の味を良くする研究も行ったのです」と荒マネージャーは話す。

その結果、コストが蛍光灯の2分の1抑えることができ、SHIGYO法の開発によって、味を良くすることにも成功した。あとは、それをいかに浸透させるかだ。そのためには、栽培ノウハウを指導する必要があると考え、川崎市に実証工場をつくって、さまざまな野菜の栽培を試みた。

しかも、昭和電工は植物工場に必要なアルミ部材や溶液、炭酸ガスなどを手がけており、自社で植物工場をつくれることがわかった。そこで、事業立案や栽培技術指導まで含んだ植物工場システム全体を売っていく戦略を取ることにした。福島県川内村につくった植物工場は非常に評判が良く、しかも栽培した野菜はほぼ完売の状況だという。

「基本的に光合成で育つ野菜や果物はすべてできます。実証工場では現在、30種類以上を栽培しています。そのほかにも、こんなものをつくれないかという話が非常に多く、海外からも来ているので、月に1回は海外に出張しています」と荒マネージャー。

昭和電工の植物工場ビジネスは、今年度13億円、来年度50億円の計画だが、そのポテンシャルは非常に高く、将来大きなビジネスに広がる可能性を秘めている。

(昭和電工=写真提供)
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