フレームワーク思考で売れ残りを減らせ
以前、チラシ配りの仕事で、あるマンションの完成物件の販売会場に行ったことがある。相当数の部屋が売れ残っているようで、「死ぬ気で売れ! このままでいいと思っているか!」「危機的状況だ。今日、マンションを見に来た人は、全員、成約させろ!」と営業担当の責任者は部下を叱責していた。
しかし、そもそもなぜ売れ残ったのか。
駅から遠いわけではなく、繁華街にも近い。分譲価格も周りと比べて、さほど違わない。だが、その日、物件の部屋を掃除していた私はある場面に遭遇して、売れない理由がわかった。
マンションを見学にやってきた中年夫婦は、日あたりのよさにその物件にいい印象を持っていたようだったが、押入れをあけた瞬間ホコリが舞い上がり、窓をあけた途端サッシの汚れが目に入ると、表情が一変した。そそくさとマンションを出ていったのは言うまでもない。
おそらく営業マンらは、集客することや部屋内を表面的に整えることばかりに気を配り、肝心な部屋の掃除などのメンテナンスをしていなかった。その盲点に全く気づかなかったのだ。
もちろん、マンションが売れない原因はこれだけではあるまいが、もし彼らが、販売不振をフレームワーク思考で対応していれば(視点を自在に変化させる)、「原因」をもっと早く突き止めていたに違いない。
要するに、交渉や商談などで話が双方とも煮詰まってしまった時には、フレームワーク思考をしながら話すことで、事態打開のきかっけを探すべきなのだろう。
ただ、もう一度客目線に立てば、不動産に限らず、高額な商品を購入しようとするときは、フレームワーク思考を駆使した上手なセールストークに乗せられて浮き足立たないようにくれぐれも注意しなければならない。