勤務先の大阪に突然、藤田さんが来て……

社員一人ひとりの裁量権の大きさ、そして、成果に対して高い評価が与えられる企業風土は、人材を輩出する企業に共通する特徴だろう。

「スキンケア大学」など美容系サイトの運営やウェブコンテンツの制作などを行うリッチメディアの社長・坂本幸蔵さんは、出身企業であるサイバーエージェントでそのことを体験した一人だ。06年に入社してネット広告事業部で働いた彼は、1年目から7億円超を売り上げ、2期連続で社内MVPを受賞した「伝説」を持っている。

「上司からは『おまえは宝くじみたいなやつだな』と言われました(笑)。でも、自分が仕事で成果を出せたのは、職場環境のおかげだと思っています」

と彼は語る。

「サイバーエージェントは仕事をした分だけ評価される会社でした。半期に一度行われる社員総会では、優秀な社員が全社員の前で表彰されます。自分も頑張ろう、と他の社員を見て思う機会が意識的に用意されているわけです。会社というのはオセロと同じで、周囲に白が多ければいずれそれが増えていく。企業の文化が人を育てていくのだと実感しました」

仕事の成果は給与にもすぐに反映されたという。また、2年目には当時赴任していた大阪に突然、藤田晋社長がやってきて、「子会社の役員をやらないか」と言われた。最終的には同子会社の常務にまで昇進している。

「私があの会社で学んだのは、承認欲求が満たされて初めて、人は目標に向かって懸命に走ることができるということ。なので、うちの会社でも一人ひとりへのフィードバックを重視し、私や役員がコメントを必ず残していくようにしています。その人がどれだけ成長したのかを常に伝え、『あ、見られているな』という感覚を得ることがやる気につながると思うからです」